年金の基礎知識ぐらいは・・・

 私自身は年金の受給者になるに際してかなり詳細に自分の年金見込額やこれまでに実際に受給者に支払われた金額、また高齢の無職世帯の支出状況や貯蓄額、負債の平均など様々なデータを確認したうえで、自分なりの将来の資金計画を行ってきたつもりです。まだ働いていたころからねんきんネットを使って年金の見込み額を試算したことも何度かあります。またマクロスライドの難解な仕組みをそれなりに理解したつもりでもいます。

 しかし多くの方は年金を受け取る段になって初めてその金額の少なさに驚いているように見受けられます。ねんきん定期便で案内されているにも関わらず殆ど見ることなく捨てていたり、自分の現役時代の年収からそれに見合った金額を勝手に予想していたりという話を耳にします。それはつまり「きちんと年金保険料を納めてきたのだからまさか生活できない額なんてことにはならないだろう」という何の根拠もない安易な思い込みによるものと思われます。さらには年金に税金や社会保険料がかかり額面通りに受け取れないことに気づいてない方もいるようです。

 自分の将来において生計を維持するのに最も大切と思われる年金について、これだけ無頓着では生活設計など成り立つはずがありません。そうかと言って年金なんか当てにしなくても十分に資産があるから大丈夫、などと言える人がそんなにたくさんいるとも思えません。おそらくはそうしたお金に基づくことを考えることが「面倒くさい」のです。

 年金生活者になるのであれば、まず自分の年金の見込額や実際の手取額をしっかり把握し、その一方で毎月の支出額を大まかに把握する、こうして自分の家庭の収支をはじき出したうえで、20~30年といった大まかな年数での不足額を想定し、その他に医療、介護、家の修繕やリフォーム、家電の買い替え等で必要と思われる金額をざっくり想定しておけば、大体の目安にはなると思います。その上で残りの金額があれば自由に楽しむことに使ってしまえばいいのです(そうは言ったってどうせ使えないと思いますが)。また計算結果から不足が想定されるなら、わずかでも働いて収入を得る行動をとる必要もあるでしょう。

 たったこれだけのことなのに面倒だと先入観で決めつけて先送りし、いざ年金生活になって資金不足を心配してあたふたするのは失礼ながら準備不足と言わざるを得ません。さらに言えばこの程度の内容なら現役で働いている間でも十分に検討が可能です。こうした人生の資金設計を行わずにいると、その先でも常に資金の不安と向き合わねばならず、そんなことが死ぬまで続いていくのです。その状態で老後の人生が楽しいはずがありません。

 かく言う私も老後の準備が万全などとは考えていません。いやどんなに準備をしても万全にはならないでしょう。したがってある程度の準備をしてその上でさらに想定外のことが起きたら、その時点で改めて考える以外にはないのです。いつまでも将来への不安にとらわれていては時間が無くなっていく一方です。

 そんな不安を小さくするためには年金の基礎知識をはじめとしたお金に関する様々なことを面倒に思わず、しっかり向き合っていく方が残りの人生に少しは余裕ができるのではないでしょうか。