私も既に年金受給者の仲間入りをしており、その意味では十分に高齢者に入ります。今や人生100年時代でいわゆる高齢者となってからも人生は30年以上続くものと考えなければなりません。そうなると嫌でも「老後2000万円問題」であったようにお金の心配をすることになります。
この話が出た頃に巷で言われていた数値では、標準的な夫婦二人で妻は専業主婦の場合の年金額が月額21.3万円、一方当時の標準的な月間支出額は26.8万円で、その差5.5万円を30年分で2,000万円ということのようです。少々乱暴な計算ではありますが一つの目安にはなると思います。特に若い世代の方は安閑としていると老後生活が成り立たなくなるという危機意識によって投資に目を向ける人が増えているとも聞きます。
一方私より上の高齢者の間では、今のところ年金で生活が賄えているせいかあまり特別な行動は見られません。おそらくは大方の人がそれなりの蓄えを用意しており、今の状況なら特に困るものでもないと悠々自適な老後を送っているのではないかと推測されます。それならそれで結構なことですがひとつ気になることがあります。それは蓄えた資産をいつ使うつもりかということです。
日本人が亡くなる時に所有している貯蓄の平均額は3,500万円と言われており、それだけのお金があればもっといろいろなことができたと思わずにはいられません。
ではなぜそのお金を使えなかったのかというと、殆どの人の回答は「老後が心配だから」ではないでしょうか。本来なら元気なうちにお金を使うべきなのですが、70歳、80歳になっても相変わらず老後が心配と言っているうちに命が尽きてしまったので使えなかったのでしょう。
確かに老後というのは医療や介護などの想定外の出費が懸念されるものですが、一方でそのことばかり気にしていてそれで人生が楽しいのでしょうか、私にはとても楽しいと思えません。ましてやりたいことが出来る時間は刻一刻と減っていくのです。今を逃して次のチャンスがあることは稀でしょう。
老後が心配という高齢者は失礼ながら「ただ死にたくない」だけで生きているように見えます。もちろん何もせずに穏やかに生きてお迎えを待つという方もいるでしょう。しかし今既に老後なのに老後の心配をしているのでは、あたかも長生きをするために生きているようでとても残念な姿に思えます。
私は、既に自分が老後の人生に入っている高齢者になってもまだ「老後の心配」などという意味不明なことを言わずに、やってみたいと思ったことには惜しまずにお金をつぎ込んで、その結果何も得られなくても、自分の判断を信じて少しでも実り多い人生の最後を築いていきたいと思っています。